鶴見と川崎をつなぐ旧東海道の道を通ったのですが、鶴見図書館の前に立っている「旅立ち」という名の銅像を、初めてじっくり見たときの正直な感想は――不気味、でした。
三角錐に足が生えたそれは、人間とも無機物ともとらえられるたたずまいで、空洞となっている目からは血涙のような錆びの跡が滴るようにたれており、不気味な威圧感を放ちます。
エヴァの使徒とか、KKKの儀式中の人のようだという喩えがふさわしいのではないでしょうか???
調べてみると、この像は1993年に開催された「横浜ビエンナーレ」で奨励賞を受賞した二口金一氏の作品で、題名は「旅立ち」。鶴見区が買い取り、街の景観を意識して設置したものだそうです。けれど、その意図にしては周囲との調和があまりにも悪い。図書館という穏やかな場所に、無骨で抽象的な造形が突き刺さるように立っているのです。
見る角度によっては、イカのようにも、何かの亡骸のようにも見える奇妙な形。夜に通りかかると、街灯の光に照らされて輪郭がぼんやり浮かび上がり、まるで見下ろされているような感覚に襲われます。芸術は見る人の感性で評価が変わるものですが、少なくとも「安心」や「落ち着き」を求めて図書館に向かう人には、やや場違いな存在に思えます。
鶴見図書館の横には保育園があり、さらにこの付近は鶴見小学校の生徒と思われる児童が頻繁に往来するスクールゾーン。子供が見たら泣き出しそうな像を、ばっちり需要?に応えるかの如くベスト目立つスポットに置くそのセンスには脱帽です。
小学生の頃の俺だったら、ママと一緒じゃないとこの像の前歩けねーよ。
多分、鶴見図書館近所のキッズはこのホラー銅像に鍛えられた効果で、心霊オカルト耐性が神奈川県下トップクラスに高くなっていると思います。