マイカル本牧

マイカル本牧という名前を聞いて懐かしさを覚える人は、横浜の時代の変化を肌で感じてきた世代かもしれません。1989年、バブルの勢いを背景に誕生したこの商業施設は、当時「海の見えるおしゃれな街・本牧」の象徴でした。地中海風の街並み、最先端のファッションブランド、映画館、カフェ。そこには“非日常”があり、訪れること自体がステータスだったのです。週末は駐車場待ちの渋滞が当たり前で、デートや家族連れでごった返すほどの人気ぶりでした。

客層は若者が多く、在日米軍と思しき白人も見受けられたため、異国情緒を味わえる国際都市横浜の代名詞といえる場所だったんですよね。

それから30年以上が経ち、今の姿はまるで別世界のようです。現在のイオン本牧店は、当時の華やかさを思い出そうとしても難しいほど静かで、上層階のテナントは空きスペースが目立ちます。食品売り場こそ生活圏の人々で賑わいますが、かつての“流行の発信地”の面影は薄れ、どこか地方都市のイオンを思わせる雰囲気さえ漂っています。

原因を辿れば、駅から遠いという立地の不便さ、郊外型ショッピングモールの台頭、そして時代の変化に取り残されたテナント構成など、さまざまな要素が重なっています。かつて“車で行く特別な街”だった本牧は、今では“近所のスーパー”という立ち位置に落ち着いてしまった印象です。

まさかの鴨居以下（人気のららぽーとがある）まで凋落したマイカル本牧の今を歩くと、あの頃の横浜が夢のように遠く感じられ、流行の残酷さを身に染みて味わうことができるのでオススメ？です。