2か月ほど前からデイトレードを始めましたが、どうやらセンスがないようです。すでに300万円ほどの損失を出しており、典型的なギャンブル中毒者のように、短期間で大きなダメージを受けてしまいました。
株式市場には「スキャルピング」という取引手法があります。これは、数秒から数分の間に売買を繰り返す短期トレードのスタイルです。
取引を続けるうちに気づいたのは、株式市場にはHFT(ハイ・フリークエンシー・トレーディング)やアルゴリズム取引と呼ばれる自動売買プログラムが存在し、個人投資家はまるで養分のような立場に置かれているということでした。
個人投資家が資金を投入すると、一瞬で大きな損失を抱えさせられ、損切りを決断するまで株価が意図的に不利な方向へと動かされる。放置すればするほど損失が膨らみ、HFTの仕掛ける値動きに翻弄されるのです。
最初は数百円から数千円の利益を狙って売買していたのに、わずか数十秒で1万円以上の損失を抱えるような現象が何度も発生しました。
どんな銘柄であれ、株価は上下に動きます。損失が一時的に膨らんでも、ある程度は回復するかもしれない。しかし、機関投資家のプログラムは個人投資家の売買ポイントを分析し、損失回避のために動いてもプラスマイナスゼロか、わずかな利益程度しか取れないように設計されています。
彼らは「戻らない」のではなく、「戻さない」のです。個人投資家に「絶対に勝てない」とまで言わしめる悪意を持ったシステムが、こちらの損切りを狙っているのだと実感しました。
さらに、損失を確定した瞬間、株価が逆方向へ動く現象も頻繁に起こります。5分で1万円以上の損失を出し、仕方なく損切りした直後、数十分後には「切らなければ3万円取れていた」というような理不尽な動きに遭遇するのです。
ことごとく手放せば反転、持っていれば損失拡大。こんな状況に耐えられますか?
株価が狭い同一価格帯で上下する「レンジ相場」でエントリーすると、このような罠がすぐに実感できるでしょう。価格が規則的に上下に動いているだけに、「安いところで買って、高いところで売ればいい」と単純に考えてしまう。しかし、それこそが撒き餌なのです。個人投資家が飛びついた瞬間、意図的なブレイクアウトが発生し、思惑とは逆の方向へ株価が動く。
信じられないかもしれませんが、HFTは個人投資家から数百円~数千円を奪うために、数百万~数千万円規模の売買で価格操縦を仕掛けてきます。では、こちらもアルゴリズム取引で対抗すればいいのか? そう考えるかもしれませんが、楽天証券などの提供するアルゴ取引と、機関投資家のプログラムとでは性能の格差が圧倒的すぎます。彼らは数億円単位の設備投資を行い、証券取引所との強固な接続環境を確保しています。
そもそも、HFTを手に入れたところで、相場操縦を可能にする投資資金もなければ、プログラムの構築手法や相場をコントロールするためのノウハウも私たちにはありません。同じ土俵で戦おうという発想は捨てたほうがいいでしょう。
ここまでの話はパチ屋で遠隔と喚く養分のように、敗者の被害妄想と思われるかもしれませんが、私はパチンコやパチスロで平均月収を超える利益を安定して出せます。期待値を理解し、合理的に立ち回ることができるからです。
しかし、株式市場ではHFTの存在により、「数百円~数千円程度の手ごろな期待値がありそうな地点にHFTの罠が張り巡らされている」という現実に何度も打ちのめされました。まるで蜃気楼を追い続けるような感覚です。
ところで、株価は上がるか下がるかの50%のはず。しかし、個人投資家が最終的に生き残れる確率は1%未満とも言われています。この確率の乖離を生んだ元凶こそ、機関投資家のプログラム売買なのでしょう。
安く買う、高く売る。というシンプルなルールを徹底することが投機の勝利条件です。だからこそ誰もが「自分なら勝てる」と思って市場に参入するのですが、強烈な価格操縦にメンタルか資金の限界を打ち破られて、結局は巨額の損失を抱えて撤退する。そういう世界なのです。
もし、あなたが私と同じように「期待値稼働」の経験を持ち、軽い気持ちでデイトレを始めようとしているならば、やめたほうがいい。「消えてもいい資金でやるべき」と言われますが、そんな余裕資金を持っている人はほとんどいません。
私は特にお金が好きな人間です。道端の1円玉でも拾うような人間が、たった2か月で300万円を失う。このストレスがどれほどのものか、想像できますか?
初心者向けのデイトレード本は数多く出回っていますが、それらを読み漁ったところで、スタート地点に立つことすら難しい。それだけデイトレやスキャルピングは厳しい世界なのです。
はぁ……この損失、どうやって埋めるか考えなければなりませんね。